第397弾
提督の決断
2012年2月上旬。HP後援者のナギさんより輸送物資が到着。
その中身はプレイ日記第375弾に続く、ナギさん製作のショートレビュー第二弾だった。
レビューして頂いたソフトは押しも押されぬ戦略シュミレーションの金字塔、「提督の決断」の初代。
太平洋戦争におけるナギさんの知識はガードリーダーやヤークトティーガー氏を凌ぐと言われるほど。
「提督の決断」を語るに彼以上に相応しい人物は他にいないだろう♪
ナギさんのショートレビュー |
「宇宙戦艦ヤマト」から始まり、 ニチモの30センチシリーズの艦船模型から連合艦隊に興味を持ったナギが、 中学1年の頃に初めて手を出した本格的海戦シミュレーションゲームが本作。 それまでは海戦物のゲームと言えば、 「レーダーミッション」や 個艦名が出てくるものでは「フリートコマンダーVS」くらいしかやったことがなかった。 また、前述の模型でも金剛、霧島、榛名、比叡と4隻買ってきてウハウハしていたら、 姉妹艦で中身が一緒というのを知って愕然としたり、といったレベルの知識しか当時はま だなかった。 ちなみにこのゲームのPC版とSFC版では一部仕様が異なる。 自分はSFC版しかプレイをしたことが無いが、PC版からSFC版に移植された際の 主な変更点は下記の通り。 ・一部BGMがカットされ、別BGMと統合された(海戦、会議など) ・新型爆弾(原爆)の削除 それではこのゲームの特徴を良くも悪くも見ていきましょう。 【全般】 ●ちょっとした擬似リアルタイム制 Vほどではないものの、ゲーム中の時間は4時間単位で区切られている。 基地に寄港時は毎日12時に1回、艦隊行動中は4時間単位で最大6回命令が出来る。 洋上航海は設定した航路の目的地まであと○○時間、といった具合で表示される。 洋上での行動は基本目的地までの航海中に別作業を行なうのが時間の節約になる。 ●BGMが秀逸 日本軍の第1艦隊が母港にいる時はいかにも桜並木を散歩しているような気分になる、 とても儚げで心洗われるような曲が流れる。 一方、アメリカ軍の場合はいかにもハワイな曲が流れる(日本軍の場合でも第1艦隊が ハワイに寄港していたら流れたかも)。 それ以外の基地に寄港した場合にも別の専用音楽が流れる。何気にサントラでこの曲を 聞いてたら「これ、川島和子のスキャットじゃないか?」と思えるようなものが。 作曲家は「宇宙戦艦ヤマト」でお馴染みの宮川泰さんでありました(^^;) SFC版では海戦のBGMが上陸戦のものと統一されているが、この上陸戦の曲も勇ましく、 なかなかカッコイイ。戦闘アニメをオンにしていると流れる艦船の砲撃シーンと相まって、 かなりプレイヤー側の士気を高めてくれる。 けしてその戦闘アニメで 砲煙が主砲の無い場所から出てたり、砲煙の数が足りなかったり、 あまりにも時間がかかるので、プレイ動画などで全てオフに設定されたりするのを 突っ込むのは野暮というものだ。 ちなみにSFC版では削除された海戦BGM、サントラで聞いてみた範囲では普通にヤマトの 戦闘シーンで出てきそうなイメージの曲でした。 ●報告電 敵艦隊発見時には画面下に「敵艦隊発見 (座標、編成など)」の電文がスクロール。 また、他艦隊や基地の戦闘を「見ない」に設定していると、緊急連絡として報告される。 その際は、一気に全ての内容が表示されないため時間がかかってまどろっこしくもあるが、 刻々と伝わる被害状況といいますか、臨場感を感じやすい。 特に洋上のBGMが流れている状態で、戦況不利な報告が入ってくると、 なんとも悲痛な気分にさせられてしまう。 特に最終シナリオの「大和特攻」における那覇基地からの入電などは悲壮感タラタラ。 刻々と入ってくる味方部隊の損害状況がなんとも痛ましい。 ●補給が無駄に長い 補給完了までの日数がその基地で補給する艦隊の必要日数が合算されていく仕様なので 下手に全艦隊に燃料補給しようものなら約1ヶ月艦隊が行動できない、などという事がある。 いくら呉のテーマが心洗われるような儚げで素敵な曲でも ゲーム内で1ヶ月延々と聞き続けるのはしんどい。 補給状態なのでそれらの艦艇に「応急修理」を施して時間を費やすこともできないし、 会議などで予算を費やすのもせいぜい1、2週間が限界だ。 そういった事態をさけるべく、艦隊の補給は1艦隊ずつ行なう必要があるので注意。 国民士気が高くなればなるほど補給完了までの日数は短くなるが、 序盤はけっこうきついので注意が必要。 また、空母艦載機の補給は母港でしか出来ない。 そのため、戦闘で消耗した艦載機の補充は例えアメリカ西海岸まで進出していても 母港に帰らないといけないので、べらぼうに面倒くさかったりもします。 基地所属の航空隊の搭乗員は役所の人間並みに頭が固く絶対に転属してくれないのだ。 ●ツンデレな陸軍 技術開発、兵器生産、待遇改善、外交交渉、あらゆる物事を決定するために 陸軍と会議が行なわれる。 参加者は10名ほどいるのだが、発言者が2人しかいないので他は完全な空気状態。 しかも提案こそ海軍が出来るものの、 陸軍が拒否したら実行されないというなんともな会議。 あまりに理不尽な展開であっても、他の参加者はひたすら座ってるだけで何も言わない。 反論もしないし支援もしてくれない。ビニール人形と変わらない他の参加者達。 爆撃機を300機作りたいもののずっと陸軍が反対するので やけくそで20000と入れたら陸軍に賛成されたので爆撃機が過剰在庫になったことも。 ただまぁそんな陸軍も、プレイヤーがずっと作戦成功を続けていると会議冒頭の台詞で 「海軍に」が「戦果の著しかった海軍に」と若干デレてくるのは微笑ましい。 ●訓練が実質、実戦訓練 洋上行動中「訓練」という項目があるのだが、ゲーム内時間で3日と多くの燃料を消耗し、 疲労度もそれなりに上がる、という内容。 CPU艦隊は「訓練」をしているそぶりもないため、 第2艦隊以降の艦艇は、基本実戦を経験するのが訓練代わりにもなっている。 その気になれば第2艦隊以降の艦艇を第1艦隊に編成替えして訓練してまた元の所属に 戻す、という方法もあるが現実的ではない。 プレイヤーが唯一操作できる第1艦隊も、母港に帰還するといちいち採点されてうるさい上、 母港に第1艦隊がいないと、外交がはちゃめちゃになる仕様(※)もあるため 中々訓練だけを目的に出撃することは出来ない。 訓練して練度を上げたいのにろくに上げる機会に恵まれない、なんとも残念な仕様になって いる。 ※第1艦隊が母港に寄港していると、海外の外交使節が来た時の要請に対してプレイヤーが 選択できるが、第1艦隊が母港にいないと自動で決定される。なお拒否する確率の方が 体感的に高く感じます。 【戦闘時】 ●陣形が役に立たない 艦隊の陣形を組むことが可能なのだが、この陣形が死に仕様になっている。 その原因は、戦闘時の命令入力の仕様が大きく関係している。 このゲームにおいて、戦闘時は大型艦から行動順番が回ってくる。 空母→軽空母→弩級戦艦→戦艦→巡洋艦→駆逐艦 といった具合だ。陣形を組んだ場合、大概大型艦は陣形中央部分に配置されているので、 順番が回ってきた際、他の艦との位置の都合、ろくに動けない。 最悪、他の艦が邪魔でその場から数ターンまともに動けない、などということがある。 また、このゲームの艦艇は後ろにそのまま移動することも可能。 戦力が不利な場合、CPUはひたすら後進して戦場離脱を図るので、 下手に陣形を組んでトロトロしていると、攻撃を浴びせることなく逃げられてしまうのだ。 ●火災発生が鬼仕様 敵からの攻撃を受けると、一定確率で火災が発生する。 火災発生状態になると、毎ターンその艦艇の装甲が1減少していくのだ。 火災はコマンド「消火」を選択すれば、艦船練度によって消火することが可能。 ただし、この火災は敵の攻撃を集中して受けると複数箇所で発生するのだ。 「消火」で消火できるのは1回につき1火災。 敵の攻撃が集中され5箇所以上火災したりしようものなら、その艦は戦闘中ずっと 消火活動を続けても沈没してしまうおそれがあるのだ。 まぁしかし、それも仕方が無い。戦闘アニメをオンにしていると、 火災発生時のアニメーションは、 火災発生というよりは艦が火達磨になっているような光景なのだから。 なお、この仕様はさすがにコーエーも問題があると判断したのか、 U以降は基本プレイヤーが操作することなく艦船練度に応じて自動消火され、 かつ火災も1箇所のみとなった。 ただ、U以降は代わりに「弾薬庫引火」という下手すれば一撃で 沈没もしくは大破する恐ろしい状態異常が追加されたが。 【その他】 ●CPUが優遇されている CPUが以下の点で優遇されている。 これはプレイヤーが仕様上、絶対に真似できない行為なのだが、 こちらもCPUが操作する第2艦隊以降の艦隊で同じ事は出来る。 1.艦載機による波状攻撃 このゲームにおいて、空母艦載機による「空撃」を仕掛けるには、空撃準備が必要である。 そのため、 夜間に空撃準備→朝8時に空撃→12時に空撃準備→16時に空撃 と、どんなに頑張っても1日で2度しか「空撃」を仕掛ける事はできない。 ただし、CPUは空撃準備の行程をどうやらスルーできるようで、 朝8時に空撃→12時に空撃→16時に空撃 と最大3回、「空撃」を仕掛けることが可能。 そのため、機動部隊はプレイヤーが操作せずに第2艦隊以降に任せておいた方が、 効率的な戦果を挙げることが可能というなんとも残念な状況になっている。 日本軍でプレイするなら、翔鶴、瑞鶴辺りに戦闘機を搭載して第1艦隊の防空艦にし、 第2艦隊に残りの空母を投入した機動部隊を編成する、というのが楽な戦い方と言えます。 2.潜水艦の初期配置 CPUが操作する潜水艦は、戦闘開始位置が敵艦隊の真下から、というなんとも絶好な ポジション。 それに対してプレイヤーが操作すると、他の艦隊戦と同様、味方位置からの移動なので、 相手が後進で逃げている状況だと、基本追いつけず雷撃できることもなく終了する。 3.ワープ機能搭載 これはプレイヤー側のCPU艦隊にはさすがに実装されていない仕様。 艦隊内の艦船で最高速度が0になった艦船がいる場合、 一瞬にして母港に帰還する仕様になっている模様。 以前、香港沖にて攻撃を仕掛けて機関停止した敵艦隊が消息不明になった。 それとほぼ同時に、敵の母港であるハワイに攻撃を仕掛けた味方艦隊が交戦した相手が 香港沖にて消息不明になっていた艦隊だった、ということがある。 ●最強ユニット このゲームにおける最強のユニットは何か? 弩級戦艦大和(本来の意味とは異なる使用のされ方で、戦艦の上位艦種になっている)? それとも雷爆機を99機搭載した空母? どれもが違う。 最強のユニットは、 歩兵 99大隊で編成された歩兵の火力は、大和を軽く凌ぐ。 射程が1しか無いのがたまに傷だが99大隊による一斉の機関銃発射は、 一撃で多数の敵機を叩き落し、 戦艦の分厚い装甲に穴を開けるのだ。 これらの勇姿を拝むのは意識しないとまず難しい(攻防戦の繰り広げられる基地の守備 隊が400大隊ほど必要。通常、毎月供与される兵員は最大で43ほど)が、 稀にゲーム終盤の敵国は所属する基地数が少ないため、こういう状況になったりもする。 こんな凶悪な歩兵ではありますが、 ゲームに慣れてくると、こういったことを楽しむのもまた有りですな。 ちなみにこの歩兵達。 艦隊に所属する兵員輸送船や戦艦などの大型艦に搭載が可能。 上陸戦の時は「陸戦隊」なのだが、基地を占領してしまうと「○○基地陸軍」となる。 海軍からあっさり陸軍に鞍替えする、節操の無い奴らなのだ。 ●航路設定に慣れが必要 これは日本軍側を操作する時にほとんど限られるが、 呉から出港して瀬戸内海を脱出する時、もしくは外海から瀬戸内海に戻ってくる時、 関門海峡、豊後水道、紀伊水道を突破するのがとても難しい。 航路設定する時のカーソルが少しでもずれていると、 「途中に陸地があります」といった感じで拒否され続けるのだ(゜皿゜;) 慣れるとサクサク通れるようになるが、初めてゲームをする時なんかは 延々瀬戸内海から脱出できずにうろうろすることになる_ノフ(、ン、)_ とにもかくにもコーエーが世に打ち出した本格的WW2海戦シミュレーションゲーム。 阿賀野型が矢矧型になっていて「阿賀野」が存在しなかったり、 アイオワとミズーリがまったくの別艦型になってたり、 艦種が同じなら「応急修理」や「完全修理」でどれも同じ性能に強化できたり、 航空機が戦闘機、雷爆機、新型戦闘機、長距離爆撃機、といった大まかな分類だったり、 戦闘アニメが無駄に長かったり、補給が遅かったりとまだまだ荒削りな部分がありますが、 充分に楽しめる内容の作品であったことは間違いありません。 以降U、Vとシリーズを重ねるごとに大きく成長していく起点となっています。 ただ、コーエー的にはこのシリーズが黒歴史扱いされているようなので Xが発売されないのがとても残念ですね。 最後に、このゲームをプレイしたユーザの誰しもが思うであろう一言を。 この画面、もう見たくない。 |
ナギさん、ショートレビューの投稿ありがとうございました。
「提督の決断」1はガードリーダーが未プレイという状況だったために・・・
今回はナギさんに全画像をご用意して頂きました。
画像の支援要請にお答えできず申し訳ない限りですが、おかげさまで非常にスムーズに編集できました★
レビューの第三弾も期待しております。今後ともロングソード連合をよろしくお願いします。
ちなみにナギさんの主戦場はご自身のブログです。
プレイ日記や「使えない一言」シリーズなど多彩なコンテンツが満載なので、一度足を運んでみて下さい♪
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