※このプレイ日記は2012年9月25日に大阪府のナギさんが製作したものです。






第522弾





提督の決断U







前作「提督の決断」の発売から4年の時を経て、続編となるUが登場。


前作に比べて本格的に作りこまれたこともあってか、
開発者達の意気込みは相当高かったようで、本作販売時のキャッチコピーは
「ウォーSLGの金字塔」とデカデカと表記されていた。
また、本作のジャケットは戦艦の持つ重厚さを意識して描いている、とのことなので、
聳え立つ大和の艦橋が印象深いことでも有名。


なお、このゲームは前作同様にパソコン版とSFCやPSなどのコンシュマー機で仕様が異なる。
大きな仕様の差は以下の通り。




・戦闘が擬似リアルタイム戦闘(Wの戦闘の試作版とも言える)
 →SFC版などでは前作同様のHEX戦に変更

・熟練度の上昇がコマンド「調練」を実行しないと増えない(最大値は60まで)
 →SFC版などでは1日につき自動で2上昇(最大値に変更無し)

・陸上部隊の兵力回復がコマンド「補充」をしないといけない
 →SFC版などでは所属基地に物資があれば1日につき自動で10回復

・敵母港を占領すると別基地に移動する
 →SFC版などでは移動しないため、敵母港を占領すると以降敵の新規艦隊が登場しなくなる

・一部のVerでは戦略爆撃が可能になっている(詳しくは後述)
 →SFC版などでは不可






【前作の反省による仕様の大幅強化】


●艦型の死に仕様の廃止



前作では艦型の違いは見た目のみであり、艦種が同じであれば山城が長門と同様な
スペックに改造することが出来たりしていた。
本作では艦型をそれぞれで1つのユニットとして取り扱い、
設定されている能力の限界突破は出来なくなった。


なお、同様に前作では単純に「戦闘機」「新型戦闘機」となっていた航空機も
「零戦二十一型」「烈風」などのように細かく分類わけされ、性能も機種ごとに
多用になった。
運動性能(戦闘力)、航続距離、装備可能兵装の概念も追加された上、
生産ラインが各機種ごと2種類と限定される仕様のため、
航続距離を優先した機体を優先的に製造するなど
プレイヤーによってちょっとした個性付けが出来るようにもなった。





●補給が迅速に

前作ではその基地に停泊している艦隊が補給を行なった場合、
国民士気が99の時であっても1週間近く、複数が補給を行なった場合は
全ての艦隊の補給日数が累計され、艦隊が1ヶ月近く行動不能になることもあった。

が、今回は、補給は1日で無事に完了する。



▲今回の補給の必要日数短縮は前作から本作にかけて、
 補給要員達が涙ぐましい体力強化などを行なった賜物なのかもしれない。






●補給線の導入



▲ゲーム上で簡単に確認できるのに、わざわざ補給線確認のために図版を
 2800円で販売したコーエーには驚愕した記憶が。そしてそれを買ってしまった自分にも。

前作で基地に補給をする場合は、最前線に近い基地ほど実行した物資の何割かが
行方不明(減少して補給される)になる仕様でした。
本作は、補給線の概念が導入され、この補給線が繋がっていないと補給そのものが
行なえない、という仕様に変更されました。
これのおかげでサムライラットな気分を味わう補給の仕方もできたりと、
個人的にはかなり満足。





●擬似リアルタイム制の廃止

前作では1日を4時間ごとに分割し、1日計6ターンになっていた。
本作では1ターン1日とし、艦隊の最低速度から算出された行動力を使用する仕様に変更
された。移動や補給を指示する移動命令、主に戦闘関連の支持を出す戦闘命令での行動力
の振り分けが重要な要素の1つとなった。
ちなみに前作では20ノットしか出せなかった輸送船は本作も健在だが、艦隊の最低速度
の算出対象には入っていない。






●戦闘アニメの合理化



前作の砲撃アニメだけが行なわれ、その後に結果表示、という無駄に長かったアニメが短縮。
砲煙もきちんと各艦艇の主砲設置箇所から設置数分だけ発生し、
結果表示もすぐさま表示されるので、視覚的、精神的負担が大きく減少。
一部、雷跡の移動の仕方がおかしいなどがありますが、まぁこの辺は許容範囲かなぁとも。
なお、これらの演出の関係から、SFC版、PS版、SS版の中ではSFC版が一番だと思います。
PS、SS版にはこれらのアニメが無く、汎用の砲撃シーンが挿入され、
前作と同様の状況になっているので観る価値ありません。






●会議



「提督の決断U」と言えば会議、と言う人もいるくらい、シリーズで最も会議に
力を入れた内容。前作の2人とビニール人形による陸軍の即決裁判みたいな会議
とはえらい違いだ。
作戦目標の決定から予算配分、外交など多岐に渡るが、プレイヤーが一番力を
注ぐのはやはり予算配分の項目。
この議題以外は捨ててもかまわない、という方針でいかないと、
日本軍の場合は陸軍と東条英機からの嫌がらせが壮絶なので大変です。





●外国

諸外国が前作以上に個性化。各国の国家元首の顔絵追加だけでなく、
きちんと支配領域の基地にはどこ所属か、というのが明記されるようになったので、
前作のように何も知らずに香港を攻撃したら英国だったのか、みたいな事はなくなった。
しかし、その影響でそれぞれの国に宣戦布告しないと攻撃できないので、
領土拡大がちょっとばかし面倒にはなったというのがあります。
あと、独逸は展開によっては艦隊を太平洋に派遣してくれるのだが、
勝手にアメリカと講和条約を結ぶ事が多く、それと同時に独逸艦隊が消滅したりする。











【その他】



●提督の死亡率が100%

前作では旗艦が撃沈されると、一定の確率で提督が戦死していたが、
本作では艦隊が1隻残らず全滅すると、100%の確率で提督が戦死する。



その影響で、COMが操作する陣営は、戦争中盤以降提督が全滅するという
なんとも寂しい展開が発生するのだ。

ただ、裏を返せば艦隊が全滅しなければ、
旗艦が艦橋直撃を受けない限りは生存できるのである。

ということで、自分はよく開戦時に龍田、多摩などの旧型軽巡洋艦を8隻で艦隊編成し、
戦艦8隻のアメリカ艦隊に特攻を仕掛ける、というのをよくやりました。
戦闘開始とともに1隻だけさっさと戦闘離脱を行なわせ、
残り7隻が全滅覚悟で敵戦艦に雷撃を仕掛けまくる、というもの。
味方が撃沈されてもスペック的にかなり貧弱な艦艇なので、問題ありませんしね。





●一部戦闘の簡略化

陸上部隊同士、航空隊同士の戦闘は、自動で行なわれるようになり、
プレイヤーはその光景を眺めるだけ、というものになった。
操作によって手出しが出来ない分、もどかしさもあるものの、
有利に立ち回ってもらえるよう部隊を多めに出撃させるなどは出来る。



▲各国に比べて日本陸軍は戦車が弱いので大変。下手すれば火炎放射器を装備した
 歩兵の方が強いと思います。三式が開発されればそれでも少し良くはなりますが。



▲敵艦隊及び基地に空襲を仕掛けた際、直掩機に迎撃されると発生。
 直掩に上がっていた部隊数分差し引かれて残った航空隊数分だけ空襲が出来るので、
 余裕があれば空襲参加部隊は多いにこした方がいい





●基地のカスタマイズが可能

基地に港湾設備の概念が導入され、前作のように全艦隊を1箇所に集結、
ということができなくなった。
ただし、港湾設備の整備やドックの新規建設などプレイヤーが自由に行なうことが
可能になったので、これまたプレイヤーの方針によって多種多様な港が作られる
ことになり面白さが増した。



▲港湾設備が1個しかないような基地では、補給のために艦隊をローテーション
 させないといけなかったりする。ちなみに出港時に表示されるこのイラストの
 艦船は中々カッコイイ。





●BGM関連

 今回は勢力によって曲の雰囲気に大きく特徴が現われる内容になっています。
日本はいかにも苦境に立たされて、苦渋の決断をした、と思わせるテーマ曲。
どこか儚げさの漂う非常にお気に入りな曲です。
アメリカは膨大な物資を後ろ盾に驀進してくる、そんな雰囲気のあるテーマ曲です。
戦闘関連の曲に関しては、個人的には前作の方が好きでした。
本作のは、艦隊戦のものは曲の前半は良いのですが、
だんだんと「あれ? ピクニックでも行ったか?」みたいに思えるちょっとほのぼのさが、
空襲時の物は、下手すりゃ運動会のリレーで流しても問題ないんじゃないの?
と思えるような曲でした。









【バグ】


どんなゲームにも大なり小なり残ってしまう事の多いバグ。
本作にはそれなりの数のバグが埋まってます。



・航空戦艦伊勢型戦艦が、搭載機を満数の22機搭載できない。

これは仕様バグですね。本作において、1航空隊の最大編成数は20機。
空母以外の艦種では搭載できる航空隊は1個のみとなっているため、
本来22機搭載できるはずの伊勢は20機までしか搭載できません。
まぁ史実では1機も搭載できなかったことを考慮すれば、20機も搭載できれば
御の字と言えなくもないですけどね(^^;)




・嵐のエリアが翌日も嵐になることがある

攻略本などで散々、「嵐のエリアは翌日は嵐にならないので、周囲に敵がいない
なら敢えて進入し、翌日の嵐回避を狙おう」
みたいなことを書いているのに、
たまに嵐の翌日も嵐のことがあります(==;)




・軍港、飛行場の建設日数が説明と違う。

港湾設備、ドック、飛行場の新規建設が、起工した月の翌々月に完成する。
説明では翌月、となっているのでこれもちょっとしたバグと言える。




・新兵器の効果が不明

対地攻撃力が上昇する「焼夷弾」を開発しても、その効果がまったく無い(==;)
銀河、彗星、流星、富嶽といった爆装可能な機体で開発前と開発後で確認しましたが、
対陸上部隊、対物資貯蔵庫共に被害に変化はありませんでした。

同様に「VT信管」も攻撃力の上昇具合が不明。そもそもこの兵器が開発される頃には、
対空99の新型艦の開発、竣工が終わっていたりするので、対空火力が2倍になる、
という効果は検証してみないとなんとも言えない。2倍になっても198まで計算
されるのか99で打ち止めなのか。

結局これらの新兵器開発は、実戦での効果を感じることが無いので、
プレイヤーの自己満足になってしまいます。




・味方第1潜水艦の名前が……

味方第1潜水艦の1文字目が文字化けしてしまうバグ。
日本軍の場合だと「伊1」が「d1」と変化します。なお、自分は某小説の影響を受け、
「富岳」(「富嶽」の「嶽」を発見できなかったので「岳」で代用していた)と命名
していたのが、気づけば「岳」になっていて衝撃でした(1文字目が消失)

これは長期間プレイしていると、いつの間にか発生している蓄積系のバグです。
元同業者として言わせていただくと、非常に難儀なバグです。原因不明ですからね。
だから、この手のバグが残っているのは同情できる余地は充分にあります。 
が、ユーザからすればせっかく命名した艦艇の名前が変になるのは非常に残念です。




・敵潜水艦が……

戦闘中の敵潜水艦が水上機のイラストにさし変わる、というバグ。



フロート付きの水上機が海中を走り、浮上時は海面を走る。
更には魚雷も撃ってくるし、豪快に被弾もします。
なんとも滑稽な情景をかもし出してくれる、ある意味微笑ましいバグ。

これも先ほどの長期間プレイによる蓄積系のバグと思われます。
ただ、自分以外にもこのバグに遭遇された方もおられるので、その状況から考えて、
敵国側が新型艦船の開発に成功すると発生するだけかもしれません。




・敵輸送船が……

敵輸送船を砲撃した際、何故か敵輸送船の名称が「蔵王型」になるバグ。
これはまだ一度しか遭遇したことのない、現在のところ再現性0のバグ。
発生時はまだまだゲーム序盤〜中盤で、南方作戦を展開中に発生。
アメリカ、イギリスどちらの艦隊だったかを覚えてないが、それに対し
夜戦で交戦中に発生した記憶があります。
基本輸送船を砲撃すると1隻撃沈できるものですが、このバグ発生時には
回避されたように思います。









【テクニック】


本作では艦船及び航空隊の練度は60までしか通常では上がりません。
それ以上は実戦を経験しないと上昇しないのですが、
撃たれ強い艦船ならまだしも、航空隊は消耗機の補充をすると練度が下がるため、
中々99まで育てるのが難しいです。
そうお嘆きのプレイヤーにちょっとしたテクニックを紹介。
多少時間がかかるものの、この方法を行なえば練度99の航空隊が量産できます。


条件:ラバウル基地が敵軍所属であること

   味方がウエワク、ポートモレスビー、ガダルカナル基地を海軍所属基地と
   して制圧していること。


上記の状況で、ウエワク、ポートモレスビーに艦載機を、
ガダルカナルに銀河や富嶽といった爆撃機を展開させます。
航続距離の関係でウエワクが烈風、ポートモレスビーが流星や彗星などになります。

事前にラバウルの陸上部隊、飛行場を艦隊で殲滅し、
ラバウルには物資貯蔵庫のみにしたら準備完了です。

あとは毎日この基地に空襲を仕掛け、物資貯蔵庫を爆撃するだけです。
物資貯蔵庫の物資が枯渇しても月を跨げば、敵軍は物資貯蔵庫に物資を補給
してくるので、心配いりません。

時間はかかりますが、この方法で安全に練度99の航空隊が育成できます。
基地航空隊司令を任命しておくと同時に航空経験99の提督も量産できます。














最後に、このゲームをプレイしたユーザの誰しもが思うであろう一言を。

















おまえ、ちょっと黙ってろ。
















※冒頭で記述した「戦略爆撃」に関して。



パソコン版の「提督の決断V」と同梱版になっていた「提督の決断U」にのみ実装された仕様。
戦略爆撃機を配備した基地では「戦爆」という項目が追加され、
それを選択すると攻撃可能範囲の敵基地があればそれを選択する。
すると、戦闘命令の際に「○○基地に絨毯爆撃を仕掛けました」と表示され、
かなりの損害を与えてくれるのだ。
ちなみに絨毯爆撃であるため、その基地に味方部隊が進出していると損害を受けるので注意が必要。
ただ、この「戦爆」は消費物資が激しいため、連発は難しいのが弱点でもある。
ちょっと荒削りな仕様であるが、この追加仕様は当時のナギを歓喜させました。


何故って?


それはまだ「提督の決断V」が発売されるもっと前に、コーエーに本シリーズに関しての意見を
A4用紙10数枚ほどで送付してました。

その中で、本作の戦略爆撃機がただの航続距離が長くて運動性能が良い爆撃機でしかない点を
指摘し、前述のような仕様にすべきだ、と書いてました。
これだけが追加仕様の導入になった、とは言いませんが、自分にとって要望していたものが
ダイレクトで反映されたのがとても嬉しかったというわけです。

ましてやVとの同梱とは言え、もはやUは過去作。工数などをかけるのを本来なら嫌がる
ものですが、当時のコーエー開発者の粋なはからいに感動を覚えます。







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