※このプレイ日記は2013年8月22日に後援者のセロさんが製作したものです。
第810弾
バッケンローダー
PartA
〜 物語 〜
それではこの作品の一番のポイントである
オープニングを紹介しましょう。
そんなに素晴らしいの?
これ以上のオープニングは未だ知りませんな。
せっかくですから、
感情移入しやすいように、
後援者の方を当てはめて、
オープニングをお送りしましょう。
楽しみね。
〜 オープニング 〜
鳥が飛ぶ。暗い翼を広げて
空を覆うように。光を奪うように
暴都…工業の街、暴力の街
その街の片隅のスラムで俺は生まれた
遠く霧都の重水処理施設から舞い上がった
あの黒い鳥は風に乗り、
雨にうたれてこの辺り一帯に舞い落ちる
煤けた雨…煤けた街並み…
ここでは飲み水にさえ灰が混じる
陽の光さえ、灰で煙る
もしも太陽が昇らなくても
重水の生み出す清潔な明かりに囲まれている富める連中は
気付きもしないだろう
…そんな街で、俺は育った
また降り出しやがった
くそったれの雨が…(←主人公)
私は…雨の音、嫌いじゃないよ(←主人公の妹)
何いってんだよ、お前の病だって
この雨のせいかも知れないんだぜ
分かってるよ…
でも、雨の日はカーテンまで
閉めきりにしなくていいし
雨音でも、何も聞こえないより
よっぽどいいよ
…そうか…そうだな
俺が産声をあげたその傍らで
妹は言葉よりも前に血を吐いた
母親と同じ、病だった
重水症…別名、恐光症
光にあたるだけで
皮膚が焼けただれる
助かる術は…ない
皮肉なものだ
重水技術が生み出したホタル水だけが
害を及ぼさない唯一の灯だとは…
…この本がいい
また? よく飽きないな
いいの
ええと、むかしむかし・・・・・
原初の記憶
火と水の神様がおさめている世界
原初の世界は、暗く、寒い
人々は、火の神の竃から火を盗み
世界に火と光を盗み出す
火の神は怒り
もっていたひかき棒を地に突き立てると
大地は裂け、火に包まれた
見かねた水の神は
選ばれたものを小さな島に集め
霧で囲って火から守った
島は、火と水の調和によって
豊かな世界になった
それからながい時が過ぎ
平和は続いたが、ある日
悪い魔法使いが島に現れた
悪い魔法使いは火の神の竃から
火を盗もうと、竃を探し始めた
しかし、竃はみつからない…
封印された竃の在処を知っているのは
今はこの国のお姫さまだけ…
悪い魔法使いが、聞き出そうとしたが
お姫さまは口を固く閉ざしたまま…
怒った悪い魔法使いは、お姫さまを
火の届かない暗い塔に幽閉した
それを知った騎士は
銀の鎧に身を包み
不思議な水の剣を片手に
お姫さまを悪い魔法使いから
救うため、冒険の旅にでた
お姫さまを思う心が
五つの光を集め
水の剣に宿したとき…
騎士は輝士となった
騎士は水と五つの光の力をかり
幾多の困難を乗り越え
ついに悪い魔法使いを倒し
お姫さまを救い出しました
めでたしめでたし
雨…強くなってきたな
ゴホッゴホッ・・・・
もう寝な
うん……
妹はいずれ死ぬ。
陽を知らぬまま、俺の分の病を背負って。
この世界に本当に神がいるなら、
なぜ俺達に等しく病んだ体を与えなかったのだろう。
……神はいない。
祈るだけでいいなら、
信じるだけで救われるなら、
この絶望にどんな意味がある?
…力が欲しい。
この、雨で黒く汚された街から、逃れる力が…
薬がいる。金が必要なんだ。
また発作か(←父親)
だんだん間隔が短くなってる。
誰かが傍にいてやらないと……
まったく……
あれのせいで、無駄金はかかるは
二人分働かなきゃならんはずのお前は勝手に仕事を辞めるは……
無駄だ、やめておけ。
薬なんぞ気休めにもならん
そんな……
お前だって分かっているはずだ。
……あれは、もう助からん
・・・・!!
・・・・・
あ……お、起きてたのか
・・・・月
痛むか?
うん、少し…
でも平気…満月じゃないから
ねぇ・・・・・
私にも、騎士様は来てくれるかな
俺がお前の騎士になるよ
…約束する
〜 スラム街にて 〜
……闘技会?
っていっても名ばかりでね。(←ごろつき)
合法的な殺し合いさ。
奴隷だのゴロツキだのを戦わせて、金持ち連中がそれに金をかける。
だが何しろ命の保証なんてあったものじゃねぇからな。
こんなスラムにまで黒服がスカウトに来てるが、
かかわらん方が身のためさ。
それでも、勝ちゃあ一攫千金ってんで、
のせられるバカもいるようだがね。
・・・・・!!
…お、おい!
ここにもいないか……
いったい何処に……?
何だ、お前は?(←黒服)
お前がスカウトマンなのか?
だったら、俺を…
ほほう、
腕に自信があるという訳か…
まあ……な
ならば、これを持ってみろ
……これは?
何だ、知らないのか?
まあ、いい……
それはスレッジという武器だ。
見た目はただの剣だが、使いこなせれば強力な武器になる。
最近は、なんでもかんでも武器の類はスレッジといっているらしいが、
そいつは違う……
こんな片隅のスラムで育ったお前が知っているかどうかは
別にどうでもいいことだが……
この島には、
皇都キングクリムゾンを始めとして、六つの都市が存在する。
そして、皇都以外の五つの都市を剣帝と呼ばれる称号を与えられた
騎士達がそれぞれ治めている。
五人の剣帝はフォルズファイブと呼ばれ、
その地位の証として
オリジナルのスレッジを持つ。
剣帝のスレッジはそこいらの俗的なスレッジとは訳が違う。
基本的な作動原理が全く異なり、その破壊力も段違いに強力だ。
今、お前に渡した剣タイプのスレッジが
俗的なスレッジとは違うといったのは、
いうなれば、剣帝のスレッジの原理を模して造ったレプリカだからだ。
剣帝……
騎士の証……
スレッジ……
話を戻そう。
我々の主催する闘技会に出場するには、ふたつの条件がある。
ひとつは、そのスレッジを使いこなせること。
スレッジを使いこなすには
ちょっとした素質とセンスがいる。
素質があるかないかは手にした瞬間わかる。
素質がない奴は、起動させることすらできないからな。
センスというのはお前の自己鍛錬しだいだ。
センスのない奴は何をやってもダメってことだ。
起動させることができ、
使いこなせてこそ、
はじめて、スレッジ使い……
そう、
スレッガーと呼ばれるのだ。
お前に素質があるなら、起動させることぐらいは簡単なはずだ。
さあ、スイッチを入れてみろ!
こいつを手にした時に
俺の夢が叶うのか。
騎士の証スレッジ……
もしも起動しなかったら……
起動しないスレッジ
・・・ッ!!!
やはり、無理か
・・・・まだだ!!
やはり起動しないスレッジ
くっ!!!
ねぇ…
私にも、騎士様は来てくれるかな…
俺がお前の騎士になるよ。
約束する。
うおおぉぉぉっ!!!
スレッジ起動
ほほう。
ときどき、お前のようなやつがいる。
年はいくつだ?
……16歳。
で、もう一つの条件とは?
……その男を倒す事。
スカウトするのは一人だけだ。
俺はカリフ・ヴァセック。
記憶を取り戻す為、俺は戦う。
いくぞ、小僧!
うおおぉぉぉっ!!!
倒されるカリフ
有望だ。
三日後、この時間、
都市境の橋で待っている。
そして三日後、
俺は黒服に連れられ闘技場へ向かった
生まれて初めての旅だった
住み慣れた街を遠くに望んだ時
孤独というものを感じた…
そして、やっと妹が
光に脅えながら今までどんな思いで生きてきたのかが分かった気がした
闘技会の成績は惨憺たるものだった
騎士の証、スレッジを手にしたものの
その力に振り回されるだけの俺には闘技場の試合はあまりに酷だった
連日、罵声を浴びながら、それでも
俺は戦い続けた…
勝つこと…それしか考えなかった
やっと一勝することができ
わずかな報奨金を手にした俺が再びこの橋を渡ったのは
一週間後のことだった…
〜 その頃 〜
蜘蛛が…蜘蛛が…!
たくさんの蜘蛛が、腕に…
糸に火がついて、まきついて…
いたい…いたい……
〜 ルシアン帰宅 〜
これは・・・・!!
そんな、そんな馬鹿な!
一週間もどこへ行ってた。
あいつは……妹は?
一昨日の夜、
最後の発作があった。
ずっとお前の名を呼んでいたが……
…………
いつ帰るか分からないから、
葬儀は昨日済ませてしまった。
・・・・!!
幻覚は末期の症状だと人に聞いた
空を覆うあの黒い鳥の翼の届かぬ場所へ
妹を連れ出したかった
しかし…
間に合わなかった…
俺は間に合わなかった…
誰を憎めばいい…
・・・・・悲しいエピソードね。
ええ。
これ以上のオープニングのあるゲームには
未だ出会ったことがありません。
そして、
4年の月日が流れ、
主人公はある人物と出会います。